ヨーガの教え

自由への道

2006年7月23日(日)大阪・中央公会堂  
ヨーガの集い「リーラー・サンガム vol.3」より (『パラマハンサ』NO.58より抜粋)

「身体と心」

一人でも多くの人が真のヨーガに触れられる機会をと、開催されてきたヨーガの集い、リーラー・サンガム。三回目となる今回は、大阪のアーサナ・瞑想クラスが行なわれている中央公会堂にて開催された。大正時代に建てられた赤レンガの建物。その二階、白い壁に囲まれた趣のある会場は、簡素ながらも美しい装飾が施されており、キールタン (神と魂を結ぶ愛の歌) が流れている。

まず、師シュリー・マハーヨーギーやミッションについて司会のアムビカーが紹介し、アーサナ・瞑想体験、ドキュメンタリーDVD『In The Cave With The Master』のダイジェスト上映と続く。その後、会場はヨーギーを囲んでのサットサンガ(真理の集い)へと導かれていった。場の様子を見守られていたヨーギーが、微笑まれながら軽やかに中央の座に着かれた。

初めにアーサナ・瞑想の体験で指導をしていたシャチが質問する。
シャチー「初めてヨーガの体験をされた方もいるので、ここでアーサナと瞑想というものがヨーガにおいてどのような位置付けであり、役割をもっているのかということをヨギさんからお聞きしたいと思います。お願いします」

ヨーギー(きっぱりとした口調で力強く)「ヨーガの目的とするものは、初めから明らかです。それは自由になることです。しかし、この世の経験を積んでくると、なかなか心の思うようにこの世界は展開してくれません。つまり、不自由という束縛を感じてしまいます。心の思うままにはならない。また身体も時には病気や怪我などで自由さを失います。そういった誰もが経験する状況の中から、それでも熱心に自由を求め、そうしてさまざまなことを発見し、自由を実現するというのがヨーガというものです。

この人間を構成しているさまざまな形の身体があります。いちばん外側には物質でできた肉体。これは主に食べ物によって養われています。この生理的な身体を内側から支えている力――これをプラーナ、あるいは気と呼んでいる――プラーナ体があります。
日本語には“気”の付く言葉が非常に多く見つけられますね。元気、病気、あらゆる事柄が気という力によって維持されているということが分かります。しかし、この気の身体のさらにまた内側には、いわゆる心の身体があります。いろんなことを感じたり考えたり思ったり、そういう思考する想念の身体。これがその前の気の身体、プラーナの身体を支えているというふうになります。この想念の身体もまた、その奥にある知識という身体によって支えられています。どんな思いも言葉とその意味するものによって成立するわけですから、それがそのさらに奥にあるということです。この知識は、心の最も奥に潜んでいる至福、または喜びの原理に基づいています。
つまり、この人間の肉体から内側の方に、見えない部分にまで目を向けてやると、そこには必ず喜びを求める原理があるということが見つけられました。しかし、現実は喜びもあれば苦しみもあるし、おしなべて見つめてみれば悲しみや苦しみの方が勝るかもしれません。そこで本当に自由を求めて、あるいは真実というものを求めて、学び、さらには少々訓練というか、古い言葉で言うと修行というものを行なっていくことになります。

ヨーガは非常に古い時代、四千年ほど昔から行なわれてきたと記録にあります。その中で他の宗教や、さまざまな伝統にはないヨーガの極めて貴重な発見がありました。それがプラーナ、気の制御です。
しかし、心や気をいきなりつかまえる、つまり制御することはとても難しい。心をつかまえることは、あたかも風をつかまえるが如くに難しいといわれます。そして気という、これは主に呼吸を通じて大部分が摂取されていますけれども、これは水に例えられて、水をつかまえることもまた難しい。でも氷ならばつかまえることは易しい、水や風に比べたら。
そこで、身体をまず制御することをヨーガは教えます――これがアーサナ。さまざまな形を作ることによって常に健康で、もし病気ならば病気を治し、健康な身体を回復させる。さらには病気や怪我などに襲われない強靱な肉体を維持できるように肉体の改造という――これは決して筋肉ではありませんよ(笑)、もっと内面に至る細胞とか、それから関節や体液や、そういうホルモンや微妙な生理的物質にかかわることの方が多いですが――その肉体を改造することがアーサナの一つの目的です。

そうして器が変われば、水はその器によってつかまえることは易しくなります。ですからアーサナの次には、呼吸法といわれている呼吸を通じてプラーナを制御する方法があります。そして呼吸と心というのは、とっても密接に結びついていますから、例えば興奮すると呼吸が速くなったり乱れたりしますし、とっても幸せな気分の時には、呼吸は穏やかでゆったりしています。また睡眠の呼吸作用を見れば、熟睡時の呼吸は非常に安定してゆっくりしているということが発見されています。しかし、昼間の呼吸はさまざまな出来事に反応する心と同調して、不規則で速く、落ち着くことを知りません。でも呼吸を落ち着かせることができれば、それに伴って心も落ち着くことができます。これは経験によって明らかです。
皆さんがヨーガのクラスなどで一時間、二時間のクラスを体験されると、その後少しほっとするような気分になれる、そういう感触を味わわれると思いますが、それは即、現れる効果の一つです。ですから、その効果が四六時中続くようにヨーガは毎日行なっていくものなのです。これが生理的な身体から見た心理的な心の関連と、ヨーガの一つのシステムです。そこにアーサナは土台をなす部分としてあるということです。

それからついでながらといいますか、よく柔軟性の問題とかを気にする方もいますけれども、それは関係がないのです。その人にとって十分にできる範囲が、その人にとっては百パーセントです。そして、続けていけば自然に柔軟性もついてきますし、少しずつ高度なものといいますか、バリエーションのある形も作っていくことができます。でも、それが目的ではないということです。自然にそのようにできていくものだということです。
そんなところですね、アーサナに関しては(笑)」


*弟子たちは正式には「シュリー・マハーヨーギー・パラマハンサ」と呼ぶが、敬愛を込めて「ヨーギー」「ヨギ」と呼ぶこともある。

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