師は、ブッダは偉大なヨーギーであった、また彼の教えとラージャ・ヨーガはとてもよく似ていると教えてくださっています。今日は「ヨーガの福音」の中のその教えをご紹介しましょう。
大いなる悟りを啓かれた主ブッダの最初の教えは次の通りです。
一切は苦である。病むこと、老いること、死ぬこと、その原因である生まれること、これは誰もが避けることのできない大きな四つの苦しみである。この他に四つの苦しみがある。求めるものが得られない苦しみ、愛する人と別れる苦しみ、憎む人と一緒にいる苦しみ、この肉体と心が不浄である苦しみ。
これらの原因は欲望であり、その原因はエゴと無知である。
それらに対し一切の苦悩を離れた真実の境地、ニルヴァーナがある。
そしてそれに至る道が八正道である。正見、正思、正語、正業、正命、正精進、正念、正定。
ブッダはこのように非常に具体的な方法を教えました。誰もが真剣にそれを行なえば、必ずニルヴァーナは実現します。
最初の正見(しょうけん)というのは、この教えの全体像を正しく理解するということです。この世の中は「一切は苦である」という言葉を最初に聞いた時は衝撃を受けましたが、本当に今までもそうであったと納得しました。それは全く厭世的な考え方ではありません。そういうふうに理解することによって、苦しみは悲観的なものではなく、人間界においては当然あるべきものとして、すんなりと受け入れることができるようになりました。最初に「一切は苦である」と言い切ったブッダはすごい方ですね。この世の有り様をそれこそ正しく見ていたのだなと思いました。最後の正定(しょうじょう)は瞑想のことです。思いも言葉も行為も生活も正しく調えていくことによって精度の高い瞑想ができるようになる、そのようにこの尊い八つの道を真剣に歩めば、必ず真実の境地を実現することができると教えてくださっています。
この尊い教えに出会い、ブッダに帰依した人は、その当時千人以上もいたといわれています。そのように具体的な道を分かりやすく説いた方は、その頃にはいなかったんでしょうね。噂が噂を呼んで、道を求める人たち、苦しみから解放されたい人たちが、花に蜜を求めて蜂が集まるように、清らかなブッダのもとにたくさん押し寄せていったことが想像できます。ブッダと巡り会い、心の迷いを取り除かれた人たちのなんと幸いなるかな。
二千五百年の時を超えて、私たちも主ブッダと巡り会いました。この尊い教えを聞き、実践できることを本当に幸せに思い、感謝し、ますます精進していきたいと思います。
ダルミニー