京都に住む娘は現在28歳で、看護師として在宅の患者さんを訪問し、サポートする仕事をしています。当然ながら彼女は、私のことを28年間家族として間近で見てきたわけですから、私がヨーガに出会ってから、どのように変化してきたかを一番知る人物といえます。
娘にはこれまで、「ヨーガは良いから、やるといいよ。やったら、良さがわかるから」というような誘い文句でヨーガを勧めてきました。実際に、彼女自身もヨーガに触れる機会はありましたが、コロナ禍をきっかけに足が遠のいている状況が続いています。
そんな中、2023年5月から娘のところに泊まる機会が増え、今では月に1〜2回は必ず泊まり、その時には昔話や仕事、家族のこと、趣味や友達の話など近況を話すのですが、いつの頃からか、最後には必ずヨーガの話になって、夜遅く、時には明け方まで、笑いあり涙ありで語り合うようになりました。ある時、娘が私のことを「昔とは違って、許容範囲が広がって、どんどんキャパが大きくなっていってるのがわかるよ」と言ってくれたことがありました。その頃から、これまでとは違い、年齢や親子という枠を超えて、より親しく話せるようになったと感じています。
12月に宿泊した時のことです。仕事で患者さんと接する時のことについて
娘 「患者さんのいろんな言動や行為を見て判断していることは、私の心が判断していることだから、それは見ないで、相手に必要なことだけを見て援助するようにしているんだ」
私 「すごいね。それヨーガじゃん」
娘 (驚いた様子で)「えっ!それヨーガなの?」
私 「そうだよ。そうやって、目の前の人に行為していく。でも、そうだな・・・(一瞬考えて)できたら、アーサナをやるともっといいけどなぁ」
娘 「アーサナの効果は何?」
私 「そうだなぁ・・・(自分が体感している効果の中から、娘にいいものを、と考えて)自覚しているかどうかは別として、誰しも身体には疲労や歪み、偏りのようなものがあると思う。その状況がマイナスだとして、しばらくアーサナを続けているとそのマイナスが、アーサナしたらゼロになる、アーサナしたらゼロになるを繰り返すようになる。またしばらく続けていたら、どんな時もゼロでいられるようになって、またしばらく続けていたら、ゼロがたまに1になることがある。そうなった時、たった1だけれど、その1の分、余裕のようなものが生まれて、それが優しさや思いやりとなって行為することができる。そんなふうにアーサナが私の背後をしっかりと支えて、そうして支えられた行為は、相手に喜んでいただける行為となるよ」
娘 「はじめてアーサナの効果が分かった」
娘がすんなり納得したことに驚きました。これまで、何一つ伝えられていなかったけれど、やっと一つ伝えられたことに安堵しました。そして、体得したものでなければ伝わらないという事実でもありました。
私がこれまで行なっていたアーサナは形を真似たもので、体調を管理するために行なっていたように思います。しかし、オンラインクラス「アーサナの秘義」の受講をきっかけに、自宅でのアーサナでプラーナ(気)と背骨の関係を体感し、その日以来、アーサナの取り組み方が一変しました。
効果や変化が実感できなくても焦らないで、プラーナの働きを信じて、真摯に身体と向き合いながら、丁寧に行なうようになりました。すると、アーサナ中に必要なことが直感されるようになり、直感したことを実践すると驚くほど速やかに身体の状況が修復され、滞りがなくなり、さらにアーサナが深められるようになっていきました。
私が感じているアーサナの効果は驚くほどに広範囲です。日常の生活、仕事すべての行為が丁寧に感謝をもって行なうことができるようになります。これまでの価値観は一変し、上手くいかなかったことは、すべて自分の至らなさであると心から受け止め、自らを修正する力に注ぐことができます。が、しかしそこには多少、忍耐力が必要となります。その忍耐力さえもアーサナによって自然と培っていくことができます。
アーサナをすることによってヨーガの歩みは力強く加速し、自分の理想とする人間像を明確にし、それに向かって正しく努力できる叡知と方法が誰にでも開示されると確信しています。
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私のアーサナを見守ってくれる大好きなシヴァ神。
山口正美