もっと知りたくなったイスラーム展

今日はこの間の続きではなく、先週東京に行った時のことを書きます。東京には研修で行ったのですが、帰りに近くの東洋文庫ミュージアム(文京区)で開催していた「もっと知りたいイスラーム展」を見に行きました。ここは、アジアの歴史や文化に関する東洋文学の研究図書館(東洋学分野での日本最古・最大の研究図書館であり、世界5大東洋学研究図書館の一つ)である東洋文庫さんが開設された博物館です。建物はとてもシンプルなんですけど、中に入ると見る人が展示の世界に引き込まれ、そこに静かに浸っていられるような空間を提供してくれます。そして展示の内容も魅力的です。今回は話題のイスラームについて。イスラームの誕生から預言者の意味、歴史や宗派生活規範、イスラーム原理主義にいたるまで、様々なことが書物や絵などを用いながら説明されています。日本との関係も。日本にイスラーム世界の情報が入ってきたのは19世紀以降ですが、西アジアとの交流は600年代の書物からも断片的ではありますが見出せるそうです。室町時代には、相国寺の僧侶が中国から連れてきたアラブ人が京都に住んでいたという記録も残っているとか。

そして何と言っても今回私の心を打ったのは、イスラーム教の聖典『コーラン』です。より正確には「クルアーン」と発音するそうですが、14世紀に現在のシリアで書写されたアラビア語の『コーラン』が展示されていて、それが本当に美しい!!でも、それにも増して美しいのが(私の個人的な印象です)、ペルシャ語の『コーラン』です。ガラスにへばりついて見てしまいます。文字ってあんなに綺麗なものなんですか⁉でも、『コーラン』は預言者ムハンマドに授けられた唯一の神アッラーの言葉(啓示)をまとめたものであり、その預言はアラビア語で授けられたため、神の言葉を置き換えるなどということは許されず、『コーラン』をアラビア語以外に翻訳するということは長らく禁じられていたそうです。今ではできるようになりましたが、それでも「アラビア語以外の言語で書かれたものはコーランとはいえない」という考えは変わらず、他の言語で書かれたものは『コーラン』そのものではなく、「コーランの注釈書」とみなされているようです。『コーラン』とはアラビア語で「誦まれるべきもの」という意味であり、礼拝の時にはアラブ圏以外のイスラーム国の人々も暗記したアラビア語のものを暗誦するそうです。しかし、文字があんなに美しいと感じたのは生まれて初めてでした。きっとアラビア語やペルシャ語の文字が美しいのでしょうが、各節の区切りを示す金色の花や、発音の注意点を書き加えた赤い記号もまた、『コーラン』の美しさをより際立たせているのではないかと思えます。

イスラームとは、神に帰依するという意味のアラビア語だそうです。『コーラン』の中にはどんなことが書かれているかはよく知らないのですが、神を求めた人たちがイスラームによって神に至る道を見い出し、それを守り伝えようとした、そんな彼らのひたむきな思いに触れ、共に神に向かいたいという気持ちが掻き立てられました。

近くに行かれた際には、足を運んでみてくださいね。

イスラム展

ユクティー


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