春がきましたね。
でも美しい桜ももう散ってしまいました。早いですね。私はすぐに散ってしまう桜に、潔さ(ルビ:いさぎよさ)みたいなものを感じますが、皆さんは何を感じられますか?
うちの近所には桜の名所の平野神社があります。桜の時期には、本当にたくさんの人が詣でてお参りをしています。プラナヴァ・サーラの本の中で、師が神道について述べられているところがあって、日本古来の宗教は神道であるが、そこに哲学はないものの「一切は神である」という考えを持っていると書かれてありました。神社には祀られているものは何もなく、胴でできた大きな鏡だけが上に懸けられています。ある人が質問の中で、「日本人は、鏡に映った自分に手を合わせているのですね」と言った言葉が強く印象に残ったことを覚えています。
私の父は長い間、客船の船長をしていました。父は泳ぎができないので、「船が沈んで、死んだら終わり」といつも言っていました。その父からこんな話を聞いたことがあります。航行をしていると、時々海に浮かんでいる死体と出くわすことがあるそうです。いろんな理由があるのでしょうね……。
それを見つけた船乗りたちは、
「この木にすがれ」
と言いながら、その死体に向かって木や板を投げるのだそうです。
いったい誰がその木にすがるのでしょうか?私は、その話を聞いて涙が出そうになりました。
「お父さんも、死なないものがあること本当は知っているくせに、忘れているだけなんだよね」
と思いました。日本人の美しい魂に触れたような気がしました。
ヨーガではこの心も身体も自分ではない、その奥にある純粋な意識、それこそが本当の自分であると教えられます。純粋な意識とは、真理とか、真実とか、神とか、アートマンとか、いろんな言葉で表現されています。
師は説かれます。
「絶対不滅の存在、純粋意識、それがあなたの真の自己です」
「真実は一つしかありません。それこそがリアリティです。別名、神ともいう」
この心や身体が私たちであるなら、なんとこの世は不幸で不平等なのでしょう。
この教えは、私にとって本当に生きる支えです。人間はこの真実を本当は知っているのだと思います。ただ忘れているだけなんですよね。
ヨーガは、自分の中にあるいろんな謎を解きながら、真実を明らかにしていく道です。真実を思い出していく道です。懐かしい故郷に帰るようなものですよね。
面白そうでしょう? ぜひ一緒に懐かしい故郷に帰りましょう。
ダルミニー