私は鍼灸師として、様々な症状を抱えた人に会います。不安や痛みを抱えている人は、自分の中に真実の存在、神がいるとは思いも及ばないような状態です。
私にできるのは、患者さんが発する言葉に耳を傾け、その気持ちに寄り添い、少しでも楽になってほしいと願って行為することだけです。
ただ、この思いが強くなりすぎると、こうしたらもっといいのではないか?もっと結果を確実に出すには?と考えてばかりになり、どう行為すべきか定まらなくなることがあります。
師はいつも目の前にいる人の話に真剣に耳を傾け、その人にとって必要なことを、一つ一つ丁寧に言葉にして伝えられていました。師の言葉を聴いた人は、悩みや苦しみが消えてホッとしたような表情になったり、明るい表情になったりしていました。その光景を見ているだけで、私の心も洗われるようでした。
私も、僅かでも師のように行為できるようになりたい。
私の中にある真実の存在、神である師に行為して頂けるなら、そうした状態の方たちにも、自らの中にも神がいる、と感じてもらえるかもしれない。
そうすれば、痛みや苦しみを感じているのは本当の自分ではないこと、自らが喜びそのものであることを自覚し、今をより良く生きていけるようになるはず。
それを実行するためには、私という思いをなくし、目の前にいる人の中におられる神を見て、行為すること。
師が共にいてくださると想いながら患者さんに触れていると、時折私が行為しているという感覚がなくなっていることがあり、患者さんの表情がハッとするほど晴れやかになったり、安心したような雰囲気に変わったりします。きっと、私の中におられる神、ヨギさんが行為してくださっているのだと思います。
一歩一歩ヨギさんに近付いていくことで患者さんのためにもっと良い行為ができると信じ、ご自身の中に神がいることを感じてもらえるよう、日々患者さんに接しています。
空に向かって真っ直ぐに伸びて咲く、皇帝ダリア。この花を見ると秋の深まりを感じます。
ハルシャニー