幼い頃から、私と父は事あるごとにぶつかり、関係を絶った時期もあったほどでした。しかし、ヨーガを実践する中で関係を修復することができ、少しずつ穏やかな交流ができるようになっていきました。
先日のこと、父と会い、仕事のことを中心に近況報告をしていたところ、驚いたことに父の口から昔のことを詫びる言葉が出たのです。
当時の父は何の仕事をしてもうまくいかず、経済的に厳しい状況が続いていたため、子供である私にも辛く当たってしまったこと、その頃のことを、親として本当に申し訳ないことをした、と話してくれました。
また、そのようなことがあったにも関わらず、今私がしっかり働いていることが嬉しい、と言いました。
私は、自分の力で生きていくことの大切さを教わったから、大丈夫、と答えました。
父は少し微笑んで、今までで一番穏やかな雰囲気で頷いていました。
私は師の教えを思い出し、読み返しました。
”——もし他者を傷つけてしまった場合、どのようにしたらいいですか。
誰かを傷つけたということを自覚しているのはよろしいです。可能ならば、その傷つけた相手に謝罪をする。もしできなければ、心の中で謝罪をする。そして二度と同じような行ないをしないように気を付けてください。
——心の中で謝るのは何のためですか。
自分のためです。それによって心は一つのカルマを浄化するべきなのです。”
もし誰かを傷つけてしまったと気付いたら、直接謝るのが一番だけれど、たとえそれが叶わなかったとしても、自分の行為を振り返り、真剣に反省し、その方に心の底から謝ること。その結果、自分の中の過去との決別がもたらされる。そう師は教えてくださっているのだと思いました。
父はずっと前から私に対して心の中で謝っていたのかもしれません。もしかしたら今回言葉にして直接謝ることで、父は背負ってきた荷物を一つ下ろせたのではないか。そうだったら私も嬉しい。
この出来事で、謝ることの本当の意味と、それを真摯に実践することの大切さを改めて感じました。
父の家の近くの道は、イチョウが落葉して絨毯のようになっていました。
ハルシャニー