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春のお祭り

今日から3月です。少しずつ春の気配を感じられる時節になってきましたね。春は大気も何だかざわめき、陽気になってきますが、インドにはホーリー祭と呼ばれるとっても有名な春のお祭りが3月の満月の日にあるそうです。春の豊作祈願のお祭りですが、クリシュナ神の伝説とも関係し、色粉や色水を掛け合うのが特徴です。もう誰も彼もがいろんな色をかけられてしまいます。

今日は、そんなホーリー祭のインドの細密画を一つ紹介しましょう。

THE FESTIVAL OF SPRING18世紀のインドの細密画(カングラ派)ですが、クリシュナとラーダーがホーリー祭を楽しんでいる様子が描かれています。(中央左の女性がラーダーで、右がクリシュナです)

クリシュナや牛飼いの少年たちは竹で作った水鉄砲で、赤やサフラン色の水をラーダーやゴーピー(牛飼い娘)たちに振り掛けたり、粉を振りまいたりしています。男と女に陣営が分かれているのが面白い構図ですね。そしてラーダーやゴーピーたちは静かにたたずみ、クリシュナや牧童から色水をかけられるがままになっています。

何とも甘美な愛の歓喜が渦巻く絵画ですね!まさにリーラー(神聖遊戯)!

さあもうすぐ春です!

サーナンダ


マジック・フルート

クリシュナ神はインドでとても人気のある神さまです。ヴリンダーヴァンの森の中でゴーピー(牧女)たちと戯れた物語が聖典に記されていますが、その中に、クリシュナが森の中で歌をうたったり、笛を吹くと、それに誘われるようにゴーピーたちが集まってくるシーンがあります。英語ではマジック・フルートと訳されることもありますが、その笛の音には神秘的な力があって、それを聴くとゴーピーたちはあらゆる世事を忘れ、真実の世界に入っていくのです。

マジックフルート

この細密画は、クリシュナがヴリンダーヴァンの森の中で笛を吹くと、その音に誘われて牛たちが集まってきている絵です。皆うっとりとした表情で、クリシュナを見つめ、ヤムナー河を泳ぎ渡り、森の中から集まって来ています。ゴーピーたちだけでなく、牛や鳥など動物たちも集まって来たのですね。ブッダの教えを聞こうといろんな動物たちも我を忘れて仲良く座ったという逸話もありますが、それを彷彿とさせる絵です。

ところで、この絵を見た時、『ヨーガとヒンドゥー神秘主義』の最後に記されている著者ダスグプタの言葉を思い出しました。おおよそ20年前に公演した神性舞踏演劇『プレーマ・真の愛』の冒頭の詩人の言葉として師が一部を抜粋されたものでもありました。

もしもお前が自己放棄の喜びを味わったことがないのなら、もし最高の楽人、主クリシュナの手の中の笛になりたいとお前の心が切望したことがないのなら、もしお前があらゆるみじめさを神の一触れによって甘美なものにすることができなかったのなら、お前は何を得たといえるのだ。

この言葉は、常に私をハートの奥の消えることのない刻印に引き戻します。神の一触れによって、あらゆるみじめさは甘美な愛の中に溶け去る・・・あらゆる苦労も後悔も、努力や知識や記憶も蜃気楼のように消え去り、ただ愛だけがある!・・・クリシュナの笛の音、もしその音が聴こえて来たなら、誰もが我を忘れて引き寄せられるはず!その笛は永遠にハートの奥で吹かれているのだから、耳を澄ませればきっと聴こえてくることでしょう!

サーナンダ