8月に松山で2日間のミラバイさんのバクティ・サンガムがありましたが、私(山口正美)の松山バクティ・サンガムは5月から始まっていました。未経験者でしたが太鼓を担当することになり、月に2回京都に通い、太鼓の叩き方をヨーガダンダさんに一から教わりながら、ミラバイさんと練習するという無謀な挑戦を、ミラバイさんのお役に立ちたい、バクティ・サンガムを盛り上げたい一心でやってきました。
練習をはじめて1ヶ月ほどで、教わった叩き方ができるようになってきました。ただただ楽しくて、公園で練習していると、必ず散歩中の人が立ち止まって、「いい音色だね。なんという楽器か、なぜ練習しているのか」と声を掛けられました。
けれども、京都のバクティ・サンガムに参加するとハッとするのです。「ヨーガダンダさんの太鼓は私と違う!私もこんな風に叩きたい!」―ここから太鼓の練習は迷走することになりました。
右手を強く叩くようにすればいいのか?強弱をつければいいのか?叩き方ばかりを考えすぎて、今までできていたこともできなくなってしまいました。次の練習日が近いのにできない!! そこで、ヨーガダンダさんに相談のメールを送りました。その返信は、
「あらゆるものに神の顕れを感じて行為している。日常の行為でもそうするように意識していて、そうすることで自然と目の前の必要とされる行為が生まれてくるように感じている。だから自ずとリズムキープもできるし、その曲の雰囲気にも合う叩き方になる。太鼓であってもヨーガを深めていくことができるし、また日常の行為に繋がっていくものだと思う。」
それは、私の心を大きく揺さぶりました。同時に本当にそうだと感じました。
また、みんなを盛り上げたくて始めた太鼓なのに、神の御名を唱えず太鼓を叩いていることに物足りなさを感じ、神の御名を唱えることで味わう感覚を味わいたい気持ちが曲の中で湧き上がり、それに溺れると太鼓が叩けなくなり、慌てて立て直すことを繰り返し、一曲を通して叩けなくなっていました。
ヨーガダンダさんのアドバイスから、日常生活を見直しはじめた頃、梅雨が明けました。
久しぶりに公園に行き、思いっきり叩きました。何度も何度も繰り返し叩きました。すると、初めは、太鼓が何度も途切れましたが、次第に心が静まり一曲を通して叩けるようになっていました。それは、アーサナをして、ポーズをするごとに集中していく感じとよく似ていました。
太鼓を叩くことを通して、神の御名に集中するその感覚を体感したように感じました。けれども、糸口のようなものは見え始めていましたが、一曲を通して叩くことはなかなかうまくいきませんでした。そんな状態で、本番前日のリハーサルを迎えます。
私はミラバイさんに、「曲の途中で楽しくなってくるとトチってしまいます。どうしたらいいですか」とお聞きしました。すると「役割りに徹することが大切です。あのチャイタニアも外で神の御名を唱えたのは、人の為だったと思います。」と言われ、ハッとしました。ヨーガダンダさんにも同じことをアドバイス頂いていたし、他のことで、別の先輩からも同じことを言われていました。一体、どれだけ、自分のことばっかり優先してるんだろうか、恥かしさが込み上げました。
本番1日目。みんなが盛り上がるように、曲の雰囲気に入っていけるように、リズムをしっかりと刻み、音もしっかり出すことに徹しました。無我夢中でした。すると、最後の曲を叩き終わった後で、ミラバイさんの鈴は見てたけど、みんなのことは見てなかったことに気がつき反省しました。
2日目。前日の反省を踏まえて、みんなのことを見ながら、ミラバイさんのことを感じながら叩きました。無我夢中でしたが、同じ曲を3回叩いたところで、誰が叩いているのか?太鼓が自ら鳴っているのか?神の中にいるのか?というような感覚になりました。すると、ミラバイさんがリズムをアップ、ダウンさせたいタイミングも自然とわかるという、まるで、神がすべてをなさっているのを目撃しているようでした。
その曲が終わった瞬間、神の懐の中は無恐怖なんだということが、突然胸に広がり、これまでの全ての取り組みの中に失敗することを恐れる私の小さな小さな心があったことに気づかされました。神だけを見て、他者(あなた)だけを見て行為していけばいいんだという実感がそこにはありました。そうすることが、全ての恐怖を取り除くことになるのだと思いました。
感激する自分の心があり、涙が溢れました。けれども、瞬時に役割と神への集中に戻り、最後までつたないながらではありますが、役割を果たすことが出来ました。すべてが終わった時、師とすべての人々への感謝、そして神への信仰だけがありました。
ミラバイさんが帰られる日に感想をお伝えすると、「ここからが、スタート」と言葉をいただきました。これからは、さらにヨーガ・サーラ・スタジオでのキールタン活動を充実させていけるように精進していきます。本当にありがとうございました。
オーム・タット・サット・オーム!!
山口正美