聖典の真実の言葉から、心に留めてほしいものが一つあるのです。それはある覚者が語ったもので、「夫が大切だから夫が愛おしいのではなく、アートマンが大切だから夫が愛おしい。妻が大切だから妻が愛おしいのではなくて、アートマンが大切だから妻が愛おしい。子供が大切だから子供が愛おしいのではなくて、アートマンが大切だから子供が愛おしい。僧侶が偉大だから尊敬すべきなのではなくて、アートマンが尊いから僧侶が尊い」。
『マハーヨーギーの真理のことば』P87
この世界には自然と愛情が湧いてくる相手もいれば、そうでない相手もいるように見えてしまいます。でも、師であるヨギさんはそんなことには頓着せず、いつも目の前の相手の本質だけを見て接してくださっていました。それは弟子に対してだけではなく、全ての人や物に対しても同じでした。そしてヨギさんの見ておられた世界を言い表したものが上記の美しい言葉なのだと思います。
対人関係で毎日色んな出来事が起こり、時には相手に対して複雑な感情を抱いて心が混乱してしまうこともあります。それでもヨギさんのまっすぐなまなざしを思い出すと、本当はヨギさんが見ておられた世界が真実なのだと認めざる得ない気持ちになって、自分の心のあり方を正していきたいと強く思います。ヨギさんはご自身の生き様を通して、私達に真実を見せてくださいました。
でもその心さえも超えて、その奥にある本質を見つめることができれば、そこには何の違いも見つけられません。区別のない、差別のない、無差別な一つの実体が在るだけです。そして、私たち自身がそれであるということです。私もそれならあなたもそれである、万物がそれである、それだけが在る。
『マハーヨーギーの真理のことば』P87
いつかヨギさんと同じ世界が見れるように、全力でヨーガに励んでいきたいと思います。
船勢洋子