お弁当でつながっている

昨日の仕事中、持っていったお弁当を食べようとふたを開けると「何食べんの?見せて」と言われました。

 

介護の仕事で訪問しているその方は、半年前に心が折れてしまい、食事が咽を通らなくなりました。生きるか死ぬかという壮絶な期間を経て、少しずつですが食事を始めています。

 

食事をとらなくなる前、「何食べんの?見せて」「これ食べてみる?美味しいで」は勤務に入る度、何年も交わされた会話。でもある時から消えてしまい「お弁当食べたい?」と聞いても「いらん!」あるいは返事もしてくれない期間が長く、長い間尋ねることもなくなっていました。そして突然の復活!驚きと嬉しさがこみ上げました。

 

お弁当を見せると「これ欲しい」と言われ、万遍の笑みで「美味しい!」と食べてくれました。

 

何ヶ月も私のお弁当を欲しがることはなかったけれど、それでも毎回お弁当を作るとき、頭のどこかで、これ好きかな?食べたいかな?食べられるかな?と思いながら、彼女がいつでも食べられるようにお弁当を作っていたことに気がつきました。
昨日のおかずも、彼女が好きなものだったので、「美味しい」と言ってくれたのだと思いました。

 

気がついたら涙をこぼしながら笑っている私を見て、彼女も笑っていました。


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