聖典に親しむ~『不滅の言葉(コムタリト)』

インドの大覚者シュリー・ラーマクリシュナの教えや出来事を、弟子であるM(マスター・マハーシャヤ)が書き残した『不滅の言葉(コムタリト)』から、在家の弟子の一人、ギリシュ・チャンドラ・ゴーシュとの問答をご紹介します。

ギリシュは詩人・劇作家・俳優でコルカタの社交界では際立った存在でした。師と出会う前の彼は、大酒飲みで放蕩生活を送っていて、また徹底した無神論者でした。しかし師と触れるようになって完全に別人となり、熱烈な信仰者に生まれ変わりました。


1884年12月14日 ラーマクリシュナはこの日、ギリシュの書いた劇を見物なさるために、スター劇場に来ておられます。
芝居が終わった後、ギリシュは自分の部屋に師をご案内しました。

ギリシュ「先生、私は、さして何もしていません。なのにどうしてまだ、こんなに仕事をしなければならないのでしょうか?」
ラーマクリシュナ「仕事をするのはいいことさ。土地が耕してあれば、どんな種を蒔いてもよく育つ。だが仕事は結果を期待しないですることだ。(中略)」
ギリシュ「はい、どうぞ私を祝福してくださいませ!」
ラーマクリシュナ「お前、マー(大実母)の名を信じろ、すべてがうまくいくよ」
ギリシュ「でも、私は罪びと※でございます!」
ラーマクリシュナ「罪だ、罪だと年中言っているバカが、ほんものの罪人になってしまうんだよ!」
ギリシュ「先生、私の座った場所は不浄な場所でございます」
ラーマクリシュナ「何をいうんだか!千年の間、真っ暗闇だった部屋にランプが入れば、少しずつ明るくなると思うかい?ちがう。いっぺんにパーッと明るくなるんだよ」
(※ギリシュは師と出会う以前に放蕩生活を送っていた自分のことを罪びとだと言っています。)


また別の日のことです。
ラーマクリシュナは純粋な少年たちと比較して、世俗の知恵に汚れた者を「ニンニクのつぶしたのを入れておいた器は、千度洗っても匂いがすっかりは消えないだろう?※」と例えられました。(※世俗の汚れがついたら、洗っても完全には消えないという例え)
ギリシュは自分のことを言っておられると少し傷ついていたので、師に質問しました。
ギリシュ「ニンニクの匂いは消える見込みがありましょうか?」
ラーマクリシュナ「消えるだろうさ」
ギリシュ「“消えるだろう”とおっしゃいましたね?」
ラーマクリシュナ「強い火で焼くと匂いはなくなる。ニンニクを入れてあった器だって、火を通せばもう匂わなくなるよ。新しい器に生まれかわるんだよ。自分はだめだと言っている者は、決して成功しない。解脱できると自信を持っている者は、ほんとに解脱する。縛られていると年中気にしている者は、縛られる以外にないよ。自信をもって力強く、「私は解脱できた」と言う人は、解脱しているんだよ!夜も昼も「私は縛られている、私は縛られている」と言い暮らしている人は、縛られる以外にないんだよ!」


ギリシュは自分の罪(過去)を重く受け止め、“罪びとである”と言っています。ですが、ラーマクリシュナが教えてくださるように、自分は罪びとであると思い続けていると、ずっと罪のことを考えてしまい、変わることはできません。罪を見つめるよりも、ラーマクリシュナが教えてくださるように、マー(真実の存在)を思い、それに近づけるよう努力することこそが大切なのだと気付かされます。
そしてラーマクリシュナはギリシュにニンニクの匂いは消えるだろう、とおっしゃっています。その言葉にギリシュはどんなに救われたことでしょうか。ラーマクリシュナの限りない祝福と恩寵を感じる問答です。

ラーマクリシュナが教えてくださるようにマー(真実の存在)を思うとしても、まずはそれを知るところから始まると思います。
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サルヴァーニー


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