台湾特別サットサンガ 第一日目

2017年5月、シュリー・マハーヨーギーは台北の弟子たちの熱望に応え、初めて台湾の地に足を降ろされました。連日4日間のサットサンガが行なわれ、道を求める多くの人たちが師の下を訪れ、祝福と導きを受けました。

台北での初日のサットサンガは、プラサーディニーが勤めているヨーガセンターで開催されることになった。大勢の参加者の中には、普段彼女が行なっているクラスに通っている方たちの他、友人の紹介、ちらしやSNSによって興味をもち、参加を申し込んだ方もいる。
覚者とはいったいどのような存在なのだろうか。参加者たちはそれぞれ想像を巡らせここに集ってきたのだろう。シュリー・マハーヨーギーにようやくお目にかかれることになり、一同は好奇心に満ちた表情で、師の到着を心待ちにしている。興奮と緊張が入り交じった雰囲気が会場に遍満した。

午後七時四十五分、ヨーギーが入場される。沈黙の中、全員がヨーギーの姿を見つめている。ヨーギーが言葉を発せられる前からその美しいお姿と発散されるプラーナに圧倒され、涙を流す人も見られた。プラサーディニーが嬉しさと感動に高揚しながら挨拶を述べる。
プラサーディニー「シュリー・マハーヨーギー、台湾に来てくださってありがとうございます。この日をずっと待っていました。初めてサットサンガに参加する方もいらっしゃるので、今からみんなに紹介させていただきます。
サットサンガというのは昔からインドで伝わってきたもので、真実を悟ったグルが真理を求める人々の質問に答えられるという場です。それは四十年来、シュリー・マハーヨーギーが主に指導されてきたかたちです。私はとても幸運で、数年前に不思議な縁によってシュリー・マハーヨーギーに出会いました。それからは常に台湾の皆さんもシュリー・マハーヨーギーに出会うことができればいいと願い、何回もシュリー・マハーヨーギーに台湾に来てくださるようお願いしました。そして今回やっと成し遂げることができました。類いまれなる聖者に質疑ができる機会ですので、今からの時間を大切にして遠慮なく質問をしてください」
プラサーディニーからの紹介が終わると、ヨーギーは「初めまして」と優しく微笑まれる。
そしてヨーギーの言葉が終わるやいなや、まるでこの時を待っていたかのように一人の女性が挙手をし、すぐに質疑が始まっていった。

神の真実

メーイ「すべてのものは神が造りました。でもなぜすべてを造ったのですか。そしてこの世界にはいろいろな混乱があります。しかし、私たちはもう一度あのお方の下に戻らなければなりません。その意味は何でしょうか」

ヨーギー「全くその通りです。私たちは本当の神の真実を知らなければなりません。神とはいったい何なのか。ひとまずその問題を横において、誰もの私の真実、真我とは何なのかを問いたい。本当の私とは誰なのか。心は一人一人違います。それはそれぞれの人の経験により、異なるわけです。けれども心の奥には心を見ている意識があります。心を知っている意識です。それは心ではありませんので、何も言いません。しかしその純粋な意識によって心は見られているのです。その純粋な意識こそが本当のあなた自身です。それは誰もにとっても同じものであり、この宇宙のすべての本質でもあります。そして神という存在は、その存在にほかならないのです。つまり、神そのものがすべてのものになっている。この宇宙、万物の本質は神と呼ぶものです。神は完全であり、純粋であり、自由であり、至福です。間違いなど犯すはずがない。

ではこの世の中のさまざまな苦しみ、悲しみはどこからくるのか。それはさまざまな人の心の欲望であり、その原因は無知です。少しヨーガを学ばれた方は、この無知を原因としてさまざまな執着が生まれ、そしてカルマというものになっていくことを理解していると思います。この問題は何千年も昔から、世界中のどこにおいても提起された問題です。この大きな問題をどこか雲の上にいるようなものに託すわけにはいきません――小さい子供をあやす手だてとしての教えではいいでしょうが。そしてインドにおいては解決をするために、この問題に深く長く取り組んできました。そして大きな努力の結果、真実、真理が悟られました。その悟りの境地のことをヨーガと称したのです。またその悟りに至る教えや方法、修行もヨーガと称されます。皆さんもよくご存知のアーサナは、その大きなヨーガの体系のほんの一部分です。ヨーガの主なものは心を制御して、平安で自由な境地を獲得することです。もともと私たちの本質が自由であり、至福であるのですから。

そしてもう一つだけ付け加えると、その真実の存在は不滅です。それは生まれたこともなく、死ぬこともありません。皆さんはそれです」

人生の設計図

ペイリン「今私たちは真実を探求しています。でも私は年齢を重ねています。一人の小学生に会ったことがありますが、その子は小さい時に両親が別れて良くない環境の中で育ち、いろんな影響を受けました。人は生まれて、それぞれの運命をもっています。では、生まれたということは偶然ですか、あるいはカルマですか。そのような小さな子供はどのように歩いていったらいいのでしょうか」

ヨーギー「両親を同じとする兄弟であっても、たとえ双子であっても、その人生の境遇は異なります。それは一人ずつの人生の設計図が異なっているからです。それらの原因は過去世にさかのぼらなければなりません。私たち東洋人は輪廻転生という概念を少なからず理解していますが、キリスト教国ではなかなかこれが理解されにくい。イエスは輪廻転生を教えているのですけれども、後の教会がその教えをなくしてしまったからなのです。しかしこの輪廻転生は、あのブッダ、お釈迦様でさえ疑うことなく認めています。ましてやカルマという問題を理解するときには、生まれる前の過去世、さらなる過去世をも考慮しなければなりません。この世の中の物事はすべて原因と結果に基づいています。生まれることも死ぬことも、それらも原因と結果です。ならば生まれたということは、さらにその原因が見つけられます。それがカルマです。過去世において果たすべきことを果たすために生まれてきているのです。その時に決定される主な柱があります。それはどういうところに生まれるのか——境遇ですね、そして寿命、そしてその人生で味わう幸福もしくは不幸、それらがすでにもう原因としてつくられたから今回生まれてきているというわけです。お釈迦様の言葉ではないですけれども、一切は苦であるというのも真理の教えです。それはカルマがあり、無知というものがある限り、その結果として苦しみがやってくる。誰も苦しみは望みません。ならばそれをなくすためには、無知をなくす。そうすればカルマもなくなり、苦しみもなくなります。
今のお子さまの例に戻りますと、そのお子さまがその境遇で生まれたことはやむを得ないことです。しかしそのお子さまとご縁のあるあなたが側にいるならば、大きな手助け、救いをもたらすことができます。(優しい口調で)真理の教えをぜひその子に伝えてください」

純粋な意識に目覚める

ペイリン「私は誰か、内にある自性を探求するとき、その私をどういうふうに探求していけばいいですか」

ヨーギー「私という言葉は誰もにとって第一人称です。しかし、しばしば私というものを自分の環境とか状況を付加して理解している過ちを犯しています。私は男である、女である、私は賢い、あるいは私は普通です(笑)、そんなことは全く関係がないこと。私は私です。そのようにしてくっついているものをすべて取り去ってしまったならば、そこに残るのは何でしょう。意識だけです。私が私と思っている、意識している、その意識です。その証拠に今、自分の心を見てごらん。あなた方、心は意識によって知られているでしょう。心は見られているのですよ(ヨーギー、皆笑)、意識によって。でもすぐにこの世の中では心が活動をして、その純粋な意識を巻き込んでしまうのです。それが本当の私を見失うことであり、混乱と苦しみを招く原因になります。あるいは神を見失うことでもある。だからヨーガの真理に学び、そうして心を見つめ、間違いをなくしていくことによって、真実は実現します! その時、一切の苦しみも、苦悩も、混乱もなくなります。すでに、すでにもうその存在は、今、ここに在るのですから。その意識に目覚めるだけです! それまでは皆、まだ夢の中。私は皆さんの眠りを覚ましに来ました(ヨーギー、皆笑)」

宇宙万物の起源

ユーリン「今、サイエンスフィクションの映画を作っています。宇宙はエナジーで意識もエナジー、それは理解ができそうに思いますが、どうして時間もエナジーなのですか」

ヨーギー「ヨーガ的な考え方を少しだけ紹介します。起源、始まりには、真実の存在だけが在りました。この時には、宇宙も何もまだありません。その存在は形がない。しかし存在として、(強調されて)在る。この存在が形あるものに展開していきました。その時、根源の振動とともに、時間と空間が生まれたのです。それが宇宙の始まり。そしてその宇宙がつくり出された材料は、宇宙的エナジーとともにそのように現れたというふうに考えています。それが宇宙の始まりであり、時間と空間の始まりでもあります。そのエナジーのことをプラーナといいます。中国語では、チ(気)ですね(ヨーギーが中国語を使われるのを聞いた参加者たちから、思わず笑みがこぼれる)
宇宙の始まりには名もない、万物の始まりは名がある。ダオ(道)、老子のお言葉です(会場の何人かから『道家?』と声が上がる)。全くそれと同じです)

いくつかの質疑を通して、次第にヨーギーの安らぎと温かい笑顔が参加者に浸透してきたのだろうか、その場の緊張感が消え、参加者たちはよりヨーギーに親しみをもち、ヨーギーのお言葉に引き込まれていっている。

ウェイユー「人類がこの地球にいることは偶然ですか? 現代科学によると、ビッグバンがあって宇宙が生まれ地球も生まれ、万物も生まれました。そして動物が進化して人になる。科学によるとこれは偶然です。でも宗教によると、もし輪廻転生があるなら、これは偶然ではない。ヨギさんはどのように思われますか」

ヨーギー「私ももちろん科学を認めています。科学とは原因と結果の解明のことです。今の進化論もその原因と結果に基づいて進行しています。ですから、今の科学が見つけたこの宇宙の始まり——ビッグバンも確かにそうでしょう。しかしビッグバンの前は形がなかった。それは無からビッグバンが生じたのではなく、形はないけれどもエナジーとして潜在していた。そして時期を経てそれがビッグバンという形に現れて、進化して現在に至っているというふうに考えたのです。やがてこの宇宙もいつか消滅するでしょう。形のない状態に潜在するのです。やがてまた、私たちの想像を絶する時間の彼方で、ビッグバンが再び起こる。万物の誕生と死の繰り返しがあるように、宇宙もまた生と死を繰り返すというふうに理解します」

ウェイユー「先生も現代科学を認められるということですよね。先ほどの科学は現代科学で百年や二百年ですが、ヨーガは何千年も歴史があります。昔の人たちはビッグバンを知らないと思いますが、真理を探求する修行を続ける中でどのようにしてこの世界を見たのでしょうか。そしてどのようにしてビッグバンのことを知ったのでしょうか。私がお聞きしたいのは、私たちは偶然ここにいるのかということです」

ヨーギー「いいえ、それらも先ほど話したように、結果という現在があれば必ず原因があるというふうに見つけていきました。確かにヨーガは古く、四千年、五千年昔からのものだといわれています。現代の科学の言葉ではないかもしれないけれども、古代の科学の言葉によってそれらはだいたい理解されていました。それは単なる知的な理解だけではありません。霊感ともいうべき瞑想によってこの宇宙の秘密を知っていました。現代の西洋の科学は、まだ歴史は浅い。心理学にしてもまだ心の潜在意識をちょっと理解しているだけにすぎません。やがて科学がもっと発達していけば、古代の科学によって発見されたさまざまなものが見直されるでしょう」

ヨーガの学びと修練/グル

トニー「私が質問させていただきたいのは、どうすれば自分のいろんな感情から出られるかということです。自分の無知、執着やカルマはすでにありますよね。例えば何かに遭遇して、マイナスの感情に陥ったりするとき、カルマとかそういう知識はありますが、あまり役に立ちません。そしてそのようなとき、だいたい自分は一人で、他に助けてくれる人がいません。ならば、どうしたらマイナスの感情から出られますか」

ヨーギー「まさにそこにこのヨーガの力が発揮されると思います。誰もが感情によって心を混乱させてしまって、苦しんでいます。その原因は過去の経験によってつくられたものなのです。ここで新しい良い原因をつくってください。それは真理を学ぶということです。そして何らかの修行をする。必ず心は変わります」

トニー「普段からその訓練をしなければいけないということは知っていますが、今すでにそういう状況にいます」

ヨーギー「感情的で怒りっぽい人は、心臓の病を得ます。心配や不安がいつもいっぱいの人は、胃腸を壊す。これは現代の科学でも実証されています。ヨーガの真理を学べば、そして少しのアーサナや瞑想という修行をしていけば、必ず心は良い変化を起こします。とにかくやってください(笑)。ヨーガは実践をしなければならないのです。(優しく、諭すように)頭だけで、理解だけで何事も解決すれば楽かもしれないけれど、それは不可能です。でもヨーガを学んでいけばいくほどに、心は軽く、楽しくなっていくに違いありません」

ヨーギーは言い終わると優しく微笑まれた。
続いて、すぐ二、三人が同時に手を挙げ、皆は互いに見て笑い合う。プラサーディニーが一人の女性の名前を呼んで質問を促す。

ジャーチー「修行していて、グルが必要だと分かっていますが、どのようにしてグルを見つけることができますか。自分の準備が調ったら、グルは現れるのですか」

ヨーギー「はい。真剣に真理の実現を目指すことを思っていればそれが準備となり、グルはその時現れます」

ルーク「ちょっと失礼かもしれませんが、実は今日来たのはちらしを見て八歳の時悟りを得られたと知ったからです。自分なら八歳の時は、三昧の三も知らないかもしれません(皆笑)。八歳の時に悟ったということは想像ができないのですが、その八歳の子供がこの世界を見たときには、どういうふうに感じるのでしょうか。ヨギさんから見て、すべては純粋なのでしょうか」

ヨーギー「ええ、本質はそうです。しかしその上に雲や霧がかかったような状態で、この世界が見えます」

ルーク「例えば私は少し雲があって、隣の人はたくさん雲があるということですか(笑)」

ヨーギー「そうです(皆大笑)」

ルーク「少しでもいいのですが、私の上の雲を取り除いていただけませんか(皆爆笑)」

ヨーギー「(笑われながら)はい。雲などは、本当はもとよりないのですよ。しばしばそれは幻想とか夢というふうにいうことがあります。本当に不思議ですけれども、それをマーヤー、女神の力というふうに呼ぶこともあります。それは真実を隠して、いわば女神が遊んでいるというような内容です。でもそんな中では苦しみばかりですから、一人、二人とその遊びから脱出して、みんなをまた自由に連れていくゲームみたいなものです。これは例えばの話ですね。本当はもうみんなすでに、光そのものなのです」

ルーク「(興味津々な様子で)では八歳の時、どういうふうにしてサマーディにいることが分かったのですか」

ヨーギー「その存在と、存在を知っている意識だけが在りました。そしてそれこそが唯一のリアリティ。それをはっきりと自覚しました」

ルーク「その時、瞑想していましたか」

ヨーギー「いや、それは突然起こりました」

ルーク「(とても驚いた様子で)瞑想していない?! じゃあ、それは歩いていた時?」

ヨーギー「いや、眠る前です。まだその時は、ヨーガという言葉も瞑想という言葉も何も知りません。でも何も知らない子供にさえ、真実は実現するのです」

インジェン「人と人のかかわりには良いこともありますが、傷つけられることもあります。それについて質問させていただきたいです。ヨーガから見て、それをどのように修行していけばいいですか」

ヨーギー「この社会で生きていくのに本当に難しいのは、人との関係です、家庭の中でも、職場の中でも。それは先ほどお話ししたように、一人ずつのカルマ、つまり好き嫌いとかさまざまな思いが違うからです。だからあまり深入りしないように付き合えばいい。執着しないように、淡々と」

インジェン「他の人に与えるとか何かを受けるとかも考えずに?」

ヨーギー「そう、その方がいい。どちらにしても期待することを願ってしているから。それが執着になります」

ヨーギーのお言葉を聞き、彼女はその意味をかみしめるように沈思している。

カイリー「私も幸不幸の両方を深く感じています。それは私の無知が大きいからですか。あるいはそれは自分のカルマがとても多いから、修行して消さなければいけませんか」

ヨーギー「そうです。そうすれば本当の幸せがやってきます」

カイリー「では無知と関係はないですか」

ヨーギー「無知とは関係があります。真理を学ぶこと、ヨーガを学ぶことによって無知をなくすことができるからです」

カイリー「無知がなければ、幸せでも苦しみでもそれを強く感じないのですか」

ヨーギー「その通りです」

カイリー「ヨーガを学んで、一つの言葉が自分にとってとても印象的でした。その言葉は、人は自分が死んでからどこに行くのかを知るべきだということです。(ヨーギー『そうですね』)。今はまだ私にはその答えが分かりません。その言葉の答えはいったい何でしょうか」

ヨーギー「人は死んだらどこへ行くのか。それは心が思っている世界に行きます。そうして残されているカルマがあるならば、もう一度この世に生まれてきて、カルマを精算するのです。この輪廻転生を例えるならば、今日が今生、昨日は過去世、明日は来世でしょう。その間には睡眠と夢を見るでしょう。ちょうどそのようなものです。死ねば少し夢の世界に行き、そしてまた明日という来世を迎えることになります」

カイリー「もうすぐ死を迎える人たちがもっといい来世を得るために、自分は何をしたらその人たちを助けられますか」

ヨーギー「最も善いのは、やはり信仰をもたれるようにすべきです。どのような信仰でもかまいません、神や仏に」

ウェイハン「先ほど自分の感情についての話がありましたが、マイナスの感情だけではなくて良い感情も、例えば嬉しいという気持ちも制御した方がいいのですか」

ヨーギー「感情の起伏は心の状態の結果として表れるものですから、心が変わればそういう思いも変わります」

ワンジェン「アーサナをしている時によく考えるのは、私と私の身体との関係です。アーサナのクラスで学んだのは呼吸で自分の身体を感じること、そして自分の身体を尊重すべきであり、また身体を訓練すべきであるということです。でも身体にもし何か問題があれば、自分も落ち込みます。では私と私の身体の関係はいったい何でしょうか」

ヨーギー「私の本体は不滅の存在です。それは形はなく、名前もありません。しかしそれだけがリアリティとして在ります。永遠の存在ですから。しかしこの世界、宇宙万物に現れた時には形を必要とします。そこでさまざまな形が生まれ、そして心と身体が必要なために生まれたのです。だから身体はその本当の主人の召し使い、あるいは道具というふうに理解されます。心もそうです。心もまた本当の主人、マスターの召し使い、あるいは道具です。良い働きをするためには、道具は、あるいは召し使いは常に手入れを怠らないように」

真実を求める真剣さ

ユエドー「怠けはどういうふうにしたらいいですか」

ヨーギー「それは一種の癖です。新しい癖をつけましょう! 毎日クラスに来るとか(皆笑)、そしてヨーガの仲間とできるだけお茶をするとか。それで解決するはずです(皆笑)」

チェンシュー「先ほど真実に至るとおっしゃいましたが、真実に至ったら、それをまた失うことはありますか」

ヨーギー「(力強く)二度と失うことはありません」

チェンシュー「どうしてですか」

ヨーギー「それはしばしば目覚めといわれます。覚醒(思わず会場から納得する声が漏れる)。誰でも朝、いったん目が覚めたら、もう眠ることはないでしょう」

ジャーペイ「真実を見つけたということは、自分のサンスカーラを取り除いたということですか」

ヨーギー「はい、そうです。サンスカーラが消えた」

ジャーペイ「そうしたらもう一度輪廻転生はしないですか」

ヨーギー「もうありません」

ジャーペイ「ではどういうタイプの人が真実を見つけやすいですか」

ヨーギー「(少し考えられて)誰でもが可能です。やはりさまざまな人生の経験に対して真剣に向き合うことが必要です。そして本当のものを求める気持ちを強くもつこと。そうすれば必ず、本当の、本当の真実に行き着きます」

ジャーペイ「やりたくないことがあれば、どういうふうにしたらいいですか」

ヨーギー「必要なことならやらなければいけない。不必要ならやらなくてもいいでしょう」

ジャーペイ「自分で決めるのですか」

ヨーギー「真理に基づいてください(皆笑)」

シンユン「どういうふうにしたら自分の信仰を見つけられますか」

ヨーギー「熱心に探すことです」

シンユン「どうすれば熱心さを高めることができますか」

ヨーギー「誰でもこの人生の経験の中で不満や心配をもっているでしょう。でも必ずそういうもののない、自由で、本当の幸せがある。ただそれを熱心に求めるのです。そのヒントはヨーガの教えの中にいっぱいあります。またここにいるヨーガの先輩たちも少なからずそういうものを経験して、教えてくれるでしょう。あきらめないでください。(勇気づけるように)必ず見つけられますよ。
探せよ、そうすれば見いだす」

エミリー「ヨーガにおいて、例えば子供をつくることや育てることはどういうふうに考えていますか。私は本当に子供が欲しいのですが、今はまだできていないです。それは執着ですか。どうしたらいいでしょうか」

ヨーギー「この世界はあらゆる万物が生まれ変わりを繰り返しています。だから誰でもが子供をつくることを願うのは、当然のことです。(質問者はヨーギーの言葉を聞き、心がほどけたかのように思わず涙を流す)。ただ、子供に対する執着をもたないように育ててください。『バガヴァッド・ギーター』という昔の聖典の中にこんな疑問があります。『例えば今回の人生でヨーガを学び、修行をしたけれども完成には至らなかった場合、どうなるのですか』。神、主クリシュナはこう答えます、『彼の、あるいは彼女の努力は失われることはない。彼は、あるいは彼女は優れたヨーガ行者の元に生まれるから』。あなたがヨーガを深めていけばいくほどに、素晴らしい子供を授かることになります」

真実を覆い隠す無知と心の制御

トニー「今日いろいろ学びましたが、よく分からないところは、例えば逆立ちとかアーサナの中で難しいポーズをしていますよね。ポーズをしているその最中は、カルマのことや真実の探求についてどういうふうに考えたり、理解すればいいでしょうか。アーサナをすることは身体の運動にすぎないと思いますが」

ヨーギー「では簡単にそれらのことを理解できるように話します。真実、あるいは真理というものは、すでにもうあなた方の本質として(強調されて)在ります。(ヨーギーは次第に声を強め、勢いよく話される)しかし誰もそれを分かっていない。なぜか? それは心が活動をし、その真実を隠しているからです。特に無知、つまり真理を知らない、それどころかこの世界が永遠であるようにとか私が幸せであるようにとか、間違ったことを思ってしまうというのが無知です。そして一方で心と呼吸の関係というものにヨーガは注目しました。興奮しているときは、呼吸は乱れて激しい。心が穏やかなときには、呼吸は非常に安定しています。しかし呼吸は自律作用なので、それを制御することは難しい。心は風のようなもの。それをつかまえることは難しい。呼吸は水。水をつかまえるには器がいります。身体が器なのです。アーサナは主に身体の不調を治し、健康で快適な状態をつくります。それ以上にプラーナ、気の器としてふさわしい身体をつくります。呼吸が変われば心も変わります。つまりアーサナは、心という抽象的でつかみにくいものを制御する具体的な方法なのです」

問答が途切れなく続き、参加者たちは時間が経つのも忘れて真剣に聞き入っている。ヨーギーから溢れ出る真理の言葉をもっと聞きたいと、その場にいる誰もが渇望していたが、残念ながらマーヤーの時間が近づいてきた。

ヨーギー「今日はそろそろ時間が迫ってきたようです。でも皆さんにお会いできて、本当に嬉しいです。そしてとても真剣な質問と、またそれに対する話ができたと思います。これからも私ができることは何でも、何度でも来たいと思います」
それを聞いた皆は、たまらなく嬉しそうだ。
プラサーディニー「ありがとうございます。台北でシュリー・マハーヨーギーにお会いできて本当に嬉しいです。またシュリー・マハーヨーギーをここにご招待したいと思います。ありがとうございます」
ヨーギー「ではまた、お会いしましょう!」
全員が立ち上がって合掌し、ヨーギーの姿を見つめ続けた。

いろんな話題が飛び交ったとても快活なサットサンガだった。参加者たちは皆、ヨーガの醍醐味に初めて触れ、気分が高揚している。彼らの内に眠っていた真理への熱情の炎がヨーギーによって灯され、いっそう燃え上がったことだろう。
台北でのサットサンガはまだまだ始まったばかり。この日以降もさらにサットサンガは続いていく。数多くの魂たちが、ヨーギーとの出会いと導きを心弾ませながら待ち望んでいる。

2017.5.11 台北 SPACE YOGA 

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